インストールに先立ち、kern.flp、mfsroot.flp という名前のディスクを作成して おきます。kern.flp には機種の違いにより、kern144.flp、kernide2.flp、 kernide4.flp、kernuide.flp を使用する場合があります。
インストールに使用するディスクは、3.5 インチ 1.44MB(2HD) 形式か 3.5 インチ 1.2MB(2HC) 形式か 5 インチ 1.2MB(2HC) 形式のフロッピーディスクです。 1.44MB(2HD) フロッピーが使えない機種では、512 バイト / セクタ、15 セクタ / トラック、80 シリンダの両面倍密度のいわゆる 2HC フォーマットを行ないます。
3.1.1 MS-DOS 上でフォーマットを行う場合
MS-DOS 上でこのフォーマットを行なうには、
- (NEC 製 MS-DOS の場合)
- C> format x: /5 … 1.2MB (2HC)
- C> format x: /4 … 1.44MB(2HD)
- (EPSON 製 MS-DOS の場合)
- C> format x: /E … 1.2MB (2HC)
というように、/4, /5 または /E をつける必要があります。後ほど使用するバイ ナリーや 98 ファイル群も同じフォーマットのディスクにコピーして使用します。 必要な枚数分をフォーマットしておきましょう。ここで x: はフロッピーディス クのドライブ名です。
3.1.2 FreeBSD(98) 上でこのフォーマットを行なう場合
FreeBSD(98) 上でこのフォーマットを行なうには、
# fdformat -n /dev/fd0.1200 … 1.2MB (2HC) # fdformat -n /dev/fd0.1440 … 1.44MB(2HD)というように、`-n' オプションをつけてデバイスファイルを直接指定します。
標準のブート用フロッピーディスクは kern.flp と mfsroot.flp ファイルの2つ です。他に kern144.flp、kernide2.flp、kernide4.flp と kernuide.flp があり ます。kern.flp と mfsroot.flp 以外は 1.44MB(2HD) 専用となっています。 kern.flp と mfsroot.flp は 1.2MB(2HC) フロッピー形式や 1.44MB(2HD) フロッ ピー形式に書き込んで使用することができます。1.44MB(2HD) のフロッピー形式が 使える PC なら kern.flp の代わりに kern144.flp を使ってください。kern.flp は kern144.flp と比べて、PCI 用のドライバが含まれていません。kern.flp はど ちらかというと 1.44MB(2HD) フロッピー形式が使えない古い機種向けのブート用 フロッピーディスクです。
また、FreeBSD(98) 4.1.1R 以降のインストールフロッピーでは、一部の機種を除き 標準で PC カードの利用をサポートしています。
kernide2.flp は ATAPI IDE CD-ROM がある機種で2台目以降の IDE ディスクにイ ンストールするとき使用します。
kernide4.flp はその他の機種で2台目以降の IDE ディスクにインストールすると き使用します。
kernuide.flp は 内蔵 IDE、UIDE-98、UIDE-66 を ata driver でインストールす る場合に使用します。
kernide2.flp、kernide4.flp、kernuide.flp 共にフロッピーディスクに書き込む 方法は kern.flp と同様です。
kernide2.flp、kernide4.flp、kernuide.flp のいずれかで、起動する場合も mfsroot.flp フロッピーディスクが必要です。
以下、文中では単に kern.flp と書いている場合には、適切なファイル名に読み替 えてください。
注)1.44MB(2HD) フロッピー形式の kern*.flp を使う場合、mfsroot.flp も 1.44MB(2HD) フロッピー形式に書き込まなければならないことに注意してください。 例えば 1.44MB(2HD) の kern144.flp と 1.2MB(2HC) の mfsroot.flp での組 合せでのインストールはできません。
FreeBSD(98) では 1.2MB(2HC) 形式インストール用ディスクを作成する場合は、 1.2MB(2HC) 形式ディスクをドライブ 1 に挿入して、
% dd if=kern.flp of=/dev/rfd0.1200と入力します。 1.44MB(2HD) フロッピーディスクを使う場合は
% dd if=kern144.flp of=/dev/rfd0.1440です。
上記のコマンドが遅いようなら、
% dd if=kern.flp of=/dev/rfd0.1200 bs=15k % dd if=kern144.flp of=/dev/rfd0.1440 bs=18kを試みてください。
インストール用ディスクを作成するには、物理セクタの先頭から書き込む必要があ ります。物理セクタの先頭から書き込むため、tools98/dostools ディレクトリの 中の rawrite.exe という MS-DOS のツールを使用します。
注) tools ディレクトリに AT 互換機で使用する同名の rawrite.exe があります ので間違わないように注意してください。
まず、MS-DOS 上で、kern.flp などのファイルを用意し、それらのファイルのある ディレクトリで、
A> RAWRITEと実行してください。するとソースファイル名を尋ねてくるので、kern.flp など のファイル名を指定してください。次に、ドライブ番号を尋ねてくるので、 1.2MB(2HC) か 1.44MB(2HD) でフォーマットされたフロッピーディスクのあるドラ イブを指定してください。この時指定するのは、MS-DOS のドライブ番号です。
使用例C> rawrite RaWrite(98) 1.3 - Write disk file to raw diskette (C)Copyright KATO Takenori, 1995, 1996. All rights reserved. Enter source file name: kern.flp Enter destination drive: a Please insert a formatted diskette into drive A and press RETURN key : Done.注意! rawriteは、ディスクキャッシュドライバによっては相性が悪い場合があり ます。エラーが出て書き込めないようなら、config.sys や autoexec.bat がない 状態で試してみてください。
次に、インストールする配布ファイルの準備をします。FreeBSD(98) の CD-ROM や FTP サーバーをインストールメディアに利用できる場合には、特に配布ファイルを 準備する必要はありません。これらをインストールメディアに利用できない場合、 フロッピーディスクなどを利用してインストールを行いますが、その場合、最低限 用意しなければならないのは、
AT 互換機用の
- bin
- 実行ファイル等
- src/ssys.??
- カーネルソース
- crypto/crypto.??
- 基本暗号サービス
と PC98 用の
- 98bin
- 98 用に変更されたバイナリー(カーネルを含む)
- 98src/ssys.??
- 98 用のカーネルソースの差分ファイル
です。必要に応じて
AT 互換機用の
- compat1x
- FreeBSD 1.1.5.1 のバイナリーを実行するためのシェ アードライブラリ
- compat20
- FreeBSD 2.0 のバイナリを実行するためのシェアー ドライブラリ
- compat21
- FreeBSD 2.1 のバイナリを実行するためのシェアー ドライブラリ
- compat22
- FreeBSD 2.2.X と 3.0 a.out のバイナリを実行するた めのシェアードライブラリ
- compat3x
- FreeBSD 3.X のバイナリを実行するためのシェアードラ イブラリ
- compat4x
- FreeBSD 4.X のバイナリを実行するためのシェアードライブラリ
- crypto
- 基本暗号サービスや KerberosIV/5 認証サービス
- dict
- ispell 等で使用する辞書
- doc
- FreeBSD ハンドブックとオンラインドキュメント
- games
- ゲーム
- info
- GNU info ページ
- manpages
- マニュアルページ
- catpages
- マニュアルページ
- proflibs
- プロファイルドライブラリ
- ports
- ports コレクション
- src
- すべてのソースファイル
PC98 用の
- 98src
- 98 用のカーネルソースおよびコマンドの差分ファイル
- jcatman
- 日本語マニュアルページ
を用意します。
これらのファイルをフロッピーディスクや DOS 形式の MO [注1] あるいはハードディスク上に作成しておいてください。フロッピーディスクの場合はトップディレクトリを "bin" など、上記の名前と同じにして、そのなかに bin.?? を 5 または6 つずつに分けて bin/bin.?? のようにいれます。最初のフロッピーには bin/bin.inf もいれておきます。この *.inf ファイルは従来の root.flp に代わるものです。また、bin だけは例外的に最後のフロッピーに 98bin/98bin.inf も入れておくとよいでしょう。
ブート用のフロッピーディスクは 1.2MB(2HC), 1.44MB(2HD) 形式が使用できます が、配布ファイルを入れるフロッピーディスクは 1.2MB(2HC), 1.23MB(2HD) [注2], 1.44MB(2HD) のいずれかの形式が可能です。
[注1] 以前の FreeBSD(98) で UFS 形式の MO はサポートしていましたが、現在はサポートしていません。
[注2] 通称 1.25MB PC98 2HD フロッピーディスクと呼ばれているもので、以降 1.23MB(2HD) フロッピーディスクと表記します。
DOS のハードディスクや DOS 形式の MO に作成する時は、ルートディレクトリに 置くか、X.X-RELEASE [注3]という名前のディレクトリを作成し、そこに "bin" など を作成して置いてください。この場合にもそれぞれのディレクトリに *.inf ファ イルを置くことを忘れないようにしてください。
[注3] X.X-RELEASE はリリースバージョンに読み変えてください。 例えば 4.10-RELEASE です。 MS Windows のない純粋な MS-DOS 環境で LFN (Long File Name) が使えなければルートディレクトリ直下か FreeBSD か releases などの名前にしてください。インストーラはこれらの名前のディレクトリを探しに行きます。
98src/patches.tar.gz は /usr/src/ 以下のオリジナルソースファイルに対するパ ッチを tar + gzip でまとめたものです。インストーラによってソースファイルを インストールしない場合に利用してください。
boot.flp は SCSI MO や PD 装置を使ってインストールする場合に使用します。 MO か PD 装置が da2 にアサインされているなら、
# dd if=boot.flp of=/dev/rda2のように MO か PD にコピーします。スピードが遅いようなら bs=64k をアーギュ メントに追加してください。MO/PD 装置のアサインには十分注意してください。 /dev/ 指定を誤って SCSI HDD をソフト的に壊してしまった人は何十人もいます。 壊してしまった HDD を復元することはほとんど不可能です。このような場合は od ドライバを使用するとよいでしょう。配布ファイルの tools98 の unoff.patch に 用意されています。このときは次のようになります。# dd if=boot.flp of=/dev/rod0これにより FD 装置が故障した PC-9801 パソコンにも FreeBSD(98) をインストー ルすることが可能になります。
SCSI MO/PD 装置は HDD モードでなく MO モードのまま起動することができます。 これによってインストーラが起動します。インストール手順は FD の場合のインス トール手順と同じです。
AT 互換機ではブータブルイントール cd ファイルだけで、インストールすること ができます。PC-9800 ではブータブルインストール MO/PD ファイルを準備することで インストールが可能になります。このファイルの作成方法は FreeBSD98-testers メーリングリストで通知される「リリース作成ツール」にあります。ブータブルイ ンストール MO/PD ファイルは次のように MO か PD にコピーして使用します。こ こで X.X-230.ufs が「ブータブルインストール MO/PD ファイル」です。
# dd if=X.X-230.ufs of=/dev/rda2 bs=64kboot.flp のコピー時と同様、指定を誤って SCSI HDD を壊さないように十分注意 してください。
SCSI MO/PD 装置に作成した MO/PD をセットして起動すればインストーラが起動し ます。インストール手順は FD の場合のインストール手順と同じです。
ただ、「インストールメディアの選択」では「UFS MO 又は PDS からインストール する」を選択してください。