まず、インストール時に知っておいた方がいい基礎的な事項について説明します。 以下の内容は、FreeBSD(98) をインストールする場合のみではなく、使用している 時も役に立つ知識ですので、必ず目を通してください。(すでに理解している方に は、くどい内容ですが御了承ください。)
ハードディスクは、すべてを一つの OS で使用することも、複数の OS で分割して 使用することもできます。また、一つの OS が 1 台のハードディスクを分割して、 あたかも複数のディスクが接続されているかのように使用することもあります。そ の、分割された一つ一つの部分を "領域" とよびます。この "領域" はしばしば "パーティション" とよばれることがありますが、このドキュメントでは両者を明 確に区別し、"パーティション" は後で述べるように、異なる意味で用います。
領域とは、いま述べたように、ハードディスクを見かけ上複数のドライブに見せか ける機能(この記述が正確か自信がないですが、そういうものだととりあえず思っ てください)で、一般的に PC-9801 アーキテクチャのハードディスクでは必ず使用 する機能です(大昔は違いましたが)。したがって、ディスク全体を 1 つの OS で 使う場合も 1 つの領域が存在します。この領域は、ハードディスクから起動する 時に、ハードディスク起動メニューで見ることができます。もし、表示されなけれ ば、TAB キーを押したまま起動してみてください (NEC 製 MS-DOS の場合) 。 FreeBSD(98) は、各ドライブに複数の FreeBSD(98) の領域を持つことができます が、起動可能にできるのは、各ドライブの最初にあらわれる FreeBSD(98) の領域 のみです。
MS-DOS の FORMAT コマンドの "領域確保" や Windows95/98 の FDISK コマンドを思い出してください。ただ、Windows95/98 の FDISK を FreeBSD(98) インストール以後に使用すると、FreeBSD(98) が起動できなくなりますので、注意してください。
FreeBSD(98) は、この領域をさらに分割して使用します。この分割した単位を "パ ーティション" と呼びます。これは、FreeBSD(98) など、BSD-Unix 系 OS の機能 であり、実際は一つの領域の中に作成します。したがって、ハードディスク起動メ ニューで見ることはできません。FreeBSD(98) では、最大で 8 つのパーティショ ンを使用することができ、先頭から a パーティション、b パーティション、... h パーティションとよびます。このうち、b から d までのパーティションは特別 の意味を持ちます。また、起動ディスクでは a パーティションも特別の意味を持 ちます。
まず、起動ディスクの a パーティションは "ルートファイルシステム" とよび、 トップディレクトリになります。そこには、カーネルや、最低限必要なバイナリそ して、設定ファイルなどがおかれます。これは、他のパーティションが破壊されて もルートファイルシステムが無事であればとりあえず OS を起動することができる ようにするためです。FreeBSD(98) は、この a パーティションに最低でも 20MB を割り付ける必要があります。起動ディスクとして使用しなければ、たとえ a パ ーティションという名前であっても、そのような意味は持ちません。もちろん、安 全のため複数のドライブで FreeBSD(98) 起動できるようにしてあれば、それぞれ の a パーティションは特別の意味を持ちます。
b パーティションは "スワップ領域" とよばれ、実際に搭載しているメモリが足り なくなった時に、メモリの一部をコピーし、自由に使えるメモリを増やす目的で使 用されます(したがって、見かけ上メモリの量が増えることになります)。また、こ のパーティションは、カーネルに重大な障害が発生した時に、全メモリの内容を保 存するためにも使用されます(これを見て原因を突き止めることが可能になる場合 もあります)。このパーティションには最低でも実際に搭載しているメモリの 2 倍 の容量を割り付けます。また、それが 12MB に満たない時は 12MB にしてください。
c パーティションは、FreeBSD(98) で使用する領域全体を表し、d パーティション はドライブ全体を表します。
なお、FreeBSD(98) の領域と他の BSD-Unix 系の 386BSD(98) や NetBSD/pc98 の 領域を一つのドライブに共存させることはできません。これらの OS は、各領域が どんな OS で使用しているのかというフラグを共有しているからです。
各ドライブや、領域およびパーティションには必ず名前が付けられます。例えば、 da2s1a や、cd0a のような名前です。その先頭 2 文字は次のようになっています。
da SCSI ハードディスク cd SCSI CD-ROM sa SCSI テープデバイス wd IDE ハードディスク ad IDE ハードディスク (UIDE 等 ata ドライバ使用時) fd フロッピーディスク 次の文字はドライブ番号です。ここで注意しなければならないのは、SCSI デバイ スの場合、ドライブ番号と SCSI ID が一致するとはかぎらないことです。各デバ イスの種類ごとに SCSI ID の小さいデバイスから検索し、見つけた順に 0 から番 号が割り振られます。ハードディスクや MO の場合、da2 や wd0 のようにドライ ブ番号で終了しているものは、そのドライブ全体を表します。また、wd0s1a のよ うな場合、この s1 の部分が領域番号になっています。もし、da2s3 というのがあ れば、これは、3 つ以上の領域に分割されているディスクの領域 3 を表していま す。最後に a-h の数字が降られている場合は、FreeBSD(98) のパーティションを 表しています。
また、a-h で終っていて s1 などの領域を示す部分がないこともあります。これは、 各ディスクの最初に見つかった FreeBSD(98) の領域のパーティションを表してい ます。
[参考] この説明はディスクなどの場合であり、コンソールやネットワーク機器な どのデバイス名にはあてはまりません。
FreeBSD(98) では、一旦起動した後は "ドライブ" という概念を用いません。 MS-DOS では、C ドライブとか A ドライブとかいいますが、FreeBSD(98) にはその ようなものは存在しません。各ドライブ中のパーティションを使用する場合は、見 かけ上ディレクトリを乗っとる形になります。たとえば、/usr というディレクト リが、da0s1e を表すようにするためには、そのパーティションと /usr というデ ィレクトリを結び付ける作業が必要になります。それを、"マウントする" といい ます。そして、マウントするディレクトリのことを "マウントポイント" といいま す。また、一旦マウントしたパーティションの中のディレクトリにさらに異なるパ ーティションをマウントすることもできます。このようにして、1 つのツリー構造 のディレクトリを作成します。ただし、前に説明したように起動ドライブの a パ ーティションは、その根幹にあたる "/" にマウントします。
メニュー画面やアプリケーションソフトウェアの説明に、どのキーを押すか書かれ ていることがあります。その内容は、多くの場合、AT 互換機用のキーボードのこ としか考えてありません。FreeBSD(98) では、以下のような読み変えが必要です。
AT 互換機 FreeBSD(98) ALT GRPH ScrollLock vf3 Enter RETURN (ひんまがった矢印のあるキー) PageUp ROLLDOWN (逆ではありません) PageDown ROLLUP (逆ではありません) PrintScreen COPY Pause STOP End HELP Meta NFER
デバイスには、割り込み番号や DMA チャンネルそれに、メモリウィンドウのアド レスを設定する必要があります。デバイスドライバによっては自動的に設定できる ものもありますが、そうでないものもあります。自動的に設定できないデバイスで、 カーネルの設定と実際の設定が異なる場合、そのデバイスが使用できないばかりか、 場合によっては起動できなかったり使用中にハングアップしたりすることがありま す。インストール時に使用するカーネルは、以下のように設定されています。
/ I/Oポート 割り込み番号 DMAチャンネル メモリウィンドウ SCSI 0x0cc0 irq 5 (INT1) drq 3 ---- IDE HDD(*) 0x0640 irq 9 (INT3) ---- ---- 拡張RS-232C 0x00d2 irq 5 (INT1) ---- ---- LANEED LD-BDN 0x00d8 irq 6 (INT2) ---- ---- EGY-98 0x00d8 irq 6 ---- ---- LGY-98 0x00d0 irq 6 ---- ---- IF-2766ET 0x56d0 irq 5 ---- ---- SIC-98 0x00d0 irq 6 ---- 0xd0000 PC-9801-108 0x0770 irq 6 ---- ---- LA-98 0x00d0 irq 6 ---- ---- CNET(98) 0xa3d0 irq 6 ---- 0xd0000 CNET(98)E/L 0x03d0 irq 6 ---- ---- RE1000 0x00d0 irq 3 ---- ---- 3C569C 0x40d0 irq 3 ---- ---- 3C589B 0x0300 irq 10 (INT41) ---- 0xe0000 マウス 0x7fd9 irq 13 (INT6) ---- ---- フロッピーディスク 0x0090 irq 11 (INT42) drq 2 ---- RS-232C 0x0030 irq 4 ---- ---- *) 古い EPSON のノートパソコンの場合は、自動的に I/O ポートを切替えます。