FreeBSD News TCJA logo
In This Issue:

ISPの No.1 は FreeBSDさ!

Matthew Dillon

FreeBSD ってなに?

Jordan K. Hubbard

FreeBSDで動くCodaファイルシステム

M. Satyanarayanan

もう一つの FreeBSD 成功物語: 大変革を遂げたある ISP

Dan Benjamin

TCJA の web で子供たちと始めよう

Wilko Bulte

FreeBSD と PalmPilot

Oliver Fromme

いかにして FreeBSD は私のお気に入りになったか

Martin Cracauer

FreeBSD で動かすハイファイ・オーディオ

Oliver Fromme

Blender Released!

Go to Cover Page

TCJA の web で子供たちと始めよう
Wilko Bulte <wilko@tcja.nl>
訳: くりやま じゅん <kuriyama@FreeBSD.ORG>
Photo of TCJA

TCJA とは何でしょうか? TCJA とはオランダのアルンヘムにある Technisch Creatief Jeugdcentrum Arnhem (縮めて TCJA) のことです。 TCJA は訳してみれば「技術・創作に関するユースセンター」となります。

TCJA は 25 年以上も続いている財団で、10 歳から 20 歳までの子供たちに科学的・技術的な学習課題を普及させることを目標としています。TCJA の活動の場で女性が活躍しているのは注目に値します。技術的・科学的な訓練を受けた女性はオランダでは非常に少ないのです。ここ数年の実情はといえば、ほとんどすべての技術的科目に多くの生徒が押し寄せてしまい、断らざるを得ないことが多くなっています。

私たちは自分たちの目標を、 子供たちが楽しく学ぶことのできるような方法で達成しようとしています。 子供たちを教室に押し込めるのではなく、代わりにその題材を手にとって、 実際の経験を積むことのできる機会を与えるのです。 課題は科学、写真術、電子工学、シルクスクリーン印刷、 木工、金工、そしてコンピューター関係の分野などの範囲に渡ります。

これらのことを成し遂げるために、 TCJA は (賃貸ですが) 自分たちのビルを持っていて、 そこでは小人数の有給、そして多くの無給のボランティアスタッフが働いています。 お金と設備は政府、企業、そして個人の方から寄贈されました。 TCJA は現在、 存続するための十分な資金を集めようと悪戦苦闘しています。 私たちの運動に意味があると思ったなら、ぜひ寄付をお願いします。

TCJA におけるコンピューター

先に述べたように、たくさんの設備が寄贈されていますが、 コンピューターのインフラも例外ではありません。 私たちはすべてのシステムを thinwire イーサネットネットワークで Cabletron 社のハブにつないで、単一の LAN に仕立てあげています。 このネットワークは 6 台の Sun SparcStation IPC、 1 台の Sun SparcServer 4/470、9 台の 486DX PC マシンと 1 台の 386DX PC マシンを含んでいます。 Sun のマシンは Phillips Electronics 社とオランダ Sun 社からの贈り物、PC の一部は購入し、一部は Digital Equipment 社から寄贈されました。 私たちはカリフォルニアの気前のいい男 (ありがとう Gary!) からも Sun の設備を寄贈されています。

このネットワークでは、5 台のデスクトップ 486DX2/66 マシンで MS Windows for Workgroups と Web アクセス用の Netscape Navigator を走らせ、486SX/33 は管理用として使っています(これも WfW です)。486DX/33 はプリント回路 CAD 用として MS-DOS が使われています。

残りの 2 台の PC マシンの方が面白く、 これらでは FreeBSD 2.2.1-RELEASE が走っています。 両マシンとも 486DX/33 EISA ベースの Phillips サーバーです。 片方は Sun マシンと (samba を使って) WfW の PC に NFS を提供しています。 Sun SparcServer 4/470 も NFS サーバーを実行していて、 Sun IPC のディスクレスブートを担っています。すべての Sun では SunOS が走っています。

もう一つはより面白い 1 台です: これは私たちの Internet へのゲートウェイとなっています。 名前は 'dontpanic.tcja.nl' で、「銀河ヒッチハイク・ガイド」の表紙から名付けられました (私たちはその名に恥じないマシンになるよう願ってこのように名付けましたが、今までの所は立派にその役目を果たしています)。

訳注: "Hitchhiker's Guide to the Galaxy" は新潮文庫から邦訳が出ていて、その表紙には大きな親しみやすい字で「あわてるな」と書いてあるんだそうです。

dontpanic は最近 28.8K モデムから Tales 16.3 インターフェイスボードを使った ISDN/PPP リンクにアップグレードされました。 週末などは特に、すべての Sun と PC が同時に使われることが多いので、できるだけ実際の ISDN/PPP トラフィックを押えるために、dontpanic ではキャッシュ用の Apache プロクシーサーバーを走らせています。 ISDN リンクには私たちの需要に合うようにちょっと改造した bisdn/ppp パッチパッケージを利用しています。 どうでもいいことですが、ISP では Sillicon Graphics のマシンを使っています。

私たちのネットワークを恐ろしい外の世界から守るために(そして冒険心豊かな子供たちが Internet でハックし過ぎないようにするために ;-)、 dontpanic では FreeBSD のカーネルに基づくファイアウォールを使った ipfw フィルター一式に加えて、TIS firewall toolkit を修正したものを使っています。 ネットワークの任務以外では、dontpanic はローカルのメールハブ(PC の Eudora や Netscape のクライアントには POP を、Sun には NFS メールスプールを)、ローカルの Apache Web サーバー、ローカルの DNS サーバー、Apple LaserWriter PostScript レーザープリンター用のプリンタサーバー(WfW クライアントにはまたまた samba で、Sun/FreeBSD マシンには lpd で)なども担当しています。 これらの役割すべてをファイアウォールマシンで実行するのはまったくお勧めできませんが、この場合は私たちが持っているものだけでどうにかしなければならなかったのです。

私たちは現在、すべての Sun のディスクを SCSI に移行しようとしています。 Sun のサーバーは 6 つの 900MB SMD ディスクと 1.3GB IPI ディスクを使っています。 電力消費と発熱の問題から、寄贈された SCSI ディスクは一ヶ所にまとめられています。

私たちの web サーバー

私たちのような組織はもちろん、独自の Internet ドメイン名を登録し、 web サーバーを持っていなければなりません。 ありがたいことに、親切な方々のおかげで 386DX/40, 8MB, 300MB ESDI ディスクのマシンが www.tcja.nl として働いています。 これもまた FreeBSD が走っていて、この場合は 2.1.0R です。 というのもこのマシンは 20 マイルも離れた所にあるので、できるだけそっとしておきたいのです。 そのおかげか、予定外に訪問させられたのは、電源障害後の再起動に失敗した後の一回だけですんでいます。

このハードウェア性能では web サーバーにしては貧弱に思えるかも知れませんが、すばらしい uptime を誇っています(くわばらくわばら)。 今日の時点で、112 日の uptime となっており、それも UPS を追加するために電源を交換した際のものです。 UPS 以前の uptime も 100 日以上でした。

このマシンは NLnet のバックボーンに近い Nijmegen 大学に置かれています。 ですから http://www.tcja.nl を見るのに遠慮したりしないで下さい。 ほとんどはオランダ語で書かれていますが、英語の概要もありますし、いくつかの写真が理解を助けてくれることでしょう。

もし Nijmegen の電源施設の品質に興味があるなら、http://www.tcja.nl/ups をチェックして intelligent UPS に尋ねてみて下さい。 Java アプレットがここ 7 日間のグラフを描いてくれるでしょう。

apache の提供する web ページの他に、このマシンは私たちの email も扱っています。 tcja.nl 宛のすべてのメールは www.tcja.nl で UUCP キューに入れられ、dontpanic.tcja.nl の ISDN/PPP リンクがつながった時に転送されます。 これはアメリカの人たちには奇妙に聞こえるかも知れませんが、ここオランダではタダでいつまでも繋いでいられるような電話/ISDN 接続は存在しないのです。 私たちは従量制の料金を支払わなければならないので、破産したくなければ UUCP を使うのがひとつの手段なのです。

FreeBSD についての経験談
Daemon

さて、私たちが FreeBSD をどう思ってるかって? もうおわかりでしょうが、その性能と信頼性のおかげでとても楽しく過ごしています。 私たちは 386BSD 0.1 + patchkit という暗黒時代から取り組み始めましたが、 それを後悔したことはありません。

多くの人々が、前述した私たちの成果を見て FreeBSD に鞍替えしました。 これらの人々の中には Linux の達人も含み、 WinNT ユーザーも移行しようとしています。 FreeBSD を使う上での証明された実績を示すことのできる、 技術的な宣教師のグループだと言われてしまうもかしれません。

FreeBSD はとても安定していて、 個人的な需要に適応させることができ(ソースコードが入手できるおかげです)、 経済的だということを証明しました。 私たちの首をかしげたくなるような限られたハードウェア資源でさえ、 統合的なシステムの信頼性は市販のオペレーティングシステムが提供しているものよりも優れていることを証明しました。

この文章に関する疑問、意見、TCJA への設備や金銭の寄贈に関しては

Wilko Bulte (wilko@tcja.nl)
Rene de Vries (rene@tcja.nl)
までお送り下さい。
http://www.tcja.nl/
Stichting Technisch Creatief Jeugdcentrum Arnhem
Arnhem, The Netherlands