SNAPSHOTs Notes: 2002 年 4 月 21 日

はじめに

2 週間のご無沙汰でした.先週は結局多少なりに忙しかったということと, 「そんなに書く話ないかもしれない」という判断から,故意におやすみ, ということにさせていただきました.とはいえ,2 週間あけると, これはこれで量が多すぎる気もして,なかなか悩ましいところです.

5.0-DP1 リリース

さて,5.0-DP1 が無事にリリースされました.5.0-DP1 自体は, 3 月中旬ころの 5-current をベースにして,binutils,zlib など, いくつかの修正が加わっただけのものとなっています.普段から 5-current を使っている人にはあまり関係がなさそうだったということと, やはり(あたりまえといえばそうなのかもしれませんが)まだ 5-current に手を出せる人が少ないというところからか, リリースした後も比較的おだやかな, 悪く言うとあまり話題に登らなかったような気がします. それでも 5.0-DP1 の持ついくつかの問題は個別に current@FreeBSD.org にあがっており,あれこれ対応がなされているようです.

そろそろ 4.6-RELEASE

「リリース」といえば,そろそろ 4.6-RELEASE のことを考える時期,です. すでに murray 氏が 4.6-RELEASE に向けてのスケジュールを出しています. これによると,5 月 1 日に code freeze 突入して,6 月 1 日にリリース, ということになっています.code freeze を控えて,最近はすでに 5-current にのみ入っている内容の MFC があれこれ進んでいるようです.特に, 4.6-RELEASE に添付する XFree86 を 3.3.6 から4.2 にしようという話があり, sysinstall の修正や,どうやって初期設定をするか,などの話が出ていました.

/etc/defaults/rc.conf に対する MFC

さて,その 4.6-RELEASE に向けた作業の一環として, /etc 以下のいろんなファイルが書きかわりました. 4-stable を利用されている方は,src/UPDATING の 20020415 の項目を良く読み, mergemaster の更新や,各種設定ファイルの内容確認などを行った上で, 4-stable の update を行うようにしたほうが良いでしょう.

Security Advisory

この 2 週間でもあれこれ Security Advisory が出されています. 以下にそれぞれ簡単にまとめてみます.

FreeBSD-SA-02:18 の更新
zlib の問題はすでに SA として出されていましたが,この SA の一部が修正され,改めて(同じ番号の) SA として出されています. kernel に対する patch が追加され,zlib 自体の patch も一部更新されている, ということがこの SA を読むとわかります.
FreeBSD-SA-02:20: syncache/syncookies denial of service
昨年 12 月中旬頃に 4-stable に取りいれられた syncache/syncookies 回りで,kernel panic を引きさせるような問題があることが発覚しました. この SA では 2 つの問題が述べられており,1 つは簡単な対応が取れるようですが, もう 1 つの問題は回避不能だとされています.
FreeBSD-SA-02:21: routing table memory leak
昨年 12 月上旬頃に 4-stable へ加えられた修正内容の中に memory leak を起こす可能性のある code があることが発覚した,という内容です. packet filter 等を使い,問題を未然に防ぐ方法について書かれています.

今回登場した 02:20 と 02:21 の 2 つとも, リモートから意図的に攻撃を加えられることができるため, ネットワークに継いでいる場合(ほとんどの方がそうだと思いますが), この攻撃の犠牲になってしまうことも考えられます. SA 対象となっている FreeBSD を使われている場合には, 早急に対応しておくのが良いのではないでしょうか.

今回の FreeBSD-SA-02:21 の修正がはいった時点で,4.5-RELEASE が作られる RELENG_4_5 ブランチが 4.5-RELEASE-p3 という名前にかわっています. 以前にご紹介した通り,SNAPSHOTs Project ではこの 4.5-RELEASE-p3 のコードを使った snapshot の作成をすでに行ってあります. 新規に 4.5-RELEASE ベースのシステムを作る場合, これを使ってインストールすると, 後から patch をあてる手間が省けることになります.必要な場合には, 適宜入手していただければと思います.

最近の 5-current

最近の 5-current 回りの話題を,簡単にあげてみます.

インストール用 CD で cdboot を採用

既存のインストール CD は,2.88MB フロッピーのエミュレーション (具体的には boot.flp)によって起動するようになっていますが, これは「kernel その他の起動時に必要な物が,2.88MB におさまらないといけない」 という問題を持っていました.しかし,CD の容量は大きいわけですから, CD 上の kernel を直接起動できれば良いわけです. そこで,これを実現するために cdboot というプログラムが作られました. cdboot は CD 上の /boot/loader を単に起動するだけではありますが, これさえできれば,後はいつも HDD から起動するのと似たような形で, CD 上の kernel を読みこめるようになります(loader が cd9660 ファイルシステムを理解できる必要はもちろんありますが). 4.5-RELEASE の時に一度採用される見込みでしたが,結局「cdboot で boot できない PC がある」等の理由で見送られました.

が,5.0-RELEASE ではどうもこの cdboot を標準にしよう, ということで作業がすでに加えられています.SNAPSHOTs Project でも,この動きに添う形で,2002 年 4 月 19 日以降の 5-current 用 CD-ROM (nopkg-current.iso)では,cdboot を使うように変更しています.

src/contrib 以下修正あれこれ ISC DHCP が 3.0.1 RC8 に,また,sendmail が 8.12.3 に変更されています. sendmail については,つい先日 8.12.3 の bug を修正するために import しなおされています.

次回にむけて

次週は連休ということで,申しわけありませんがおやすみとなります. 2 週間後,というと,すでに 4.6-RELEASE 向け code freeze がかかった「後」 になるはずですので,4-stable 回りの話が多く書けるかなぁ,という気がします.


Appendix


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$Date: 2002/04/22 01:34:41 $