FreeBSD QandA 1617
Q. FreeBSD 4.X で IO データ機器製の SCSI アダプタ SC-UPCI を
利用しようとしています。このアダプタには Symbios の 53C875 が
使われているのですが、LINT には ncr と sym という二つのドライバが
存在します。どちらを使えば良いのでしょうか?
A. それぞれの SCSI ドライバは 4.1.1-RELEASE の時点で
以下のコアチップをサポートしています。sym は 4.X から新たに
追加されたドライバで、特に 53C896, 53C895A, 53C1010 向けに
最適化されたものです。
sym | ncr | SCSI アダプタ
-------------+--------------+--------------
53C810 | 53C810 |
53C810A | 53C810A |
53C815 | 53C815 |
53C825 | 53C825 |
53C825A | 53C825A |
53C860 | 53C860 |
53C875 | 53C875 | SC-UPCI
| 53C875A |
53C876 | |
53C885 | 53C885 |
53C895 | 53C895 |
◎ 53C895A | |
◎ 53C896 | 53C896 |
◎ 53C1010 | |
53C1510D | 53C1510D |
SC-UPCI は、53C875 を搭載しているため、従来の ncr、
新しく追加された sym のどちらでも利用可能です。
ncr と sym は現在、両方がメインテナンスされています。
確かな予測ではありませんが、ncr の方が設計が古いため、
将来的に重複する機能は sym へ統合される可能性が考えられます。
しかし、古いバージョン (1.43 より前) の BIOS を搭載した
SC-UPCI で sym を利用する場合、BIOS 起動時に SCSI デバイスを
スキャンしない場合があるなどの不具合が生じる場合があります。
これは 古いバージョンの SC-UPCI の内部で、ユーザ設定情報の
保存に使われている記録形式を sym が正しく認識できないことが原因です。
ncr を利用する場合には、特に不具合は報告されていません。
もし、sym で動作しない場合には、次のいずれかを行なうことで
SC-UPCI を利用することが可能です。
1) firmware をアップデートする。
SC-UPCI の firmware バージョンを 1.43 以降のものにアップデートす
ることで、sym ドライバが正常に動作する可能性があります。また、1.43
以降にアップデートしただけではスキャンしない場合でも、「SC-UPCIコン
フィグレーション(詳しくはボードのマニュアルを参照)」で、SCSI-ID 8
以降をスキャンしないように設定すれば、使えるようになる可能性があり
ます。
アップデートについては、<URL:http://www.iodata.jp/> を参照して
ください。
2) ncr を利用する。
sym と同様 53C875 をサポートしていて、動作実績があります。
もちろん、古いバージョンの BIOS を搭載している場合でも
正常に動作することが確認されています。
3) アダプタから設定情報を読み出す機能を無効化する。
ソースファイルの /usr/src/sys/dev/sym/sym_conf.h に含まれる
#define SYM_CONF_NVRAM_SUPPORT
という行をコメントアウトしてカーネルを再構築してください。
なお、確認した環境は
o FreeBSD 4.0-STABLE (Sun Apr 23 05:16:42 JST 2000)
o FreeBSD 4.1.1-STABLE (Sun Oct 22 04:16:38 JST 2000)
o AOpen AX6BC + SC-UPCI SCSI Adapter (BIOS ver.1.32 および 1.63)
o PC-9821V13M + FreeBSD(98)4.2R-Rev01 のインストールフロッピー
(kern144.flp, mfsroot.flp)
です。
間違い・追加情報を見付けた場合は、
修正案の投稿のしかた を読んだ上で、
QandA@jp.FreeBSD.org まで
お知らせください。