$Date: 2005/01/27 16:07:55 $
このドキュメントを運用した結果に関し、FreeBSD(98) 移植関係者および筆者 は一切責任を負いません。
FreeBSD(98) とは、IBM PC/AT(いわゆる DOS/V 機) の FreeBSD <URL:http://www.freebsd.org/ja/> という、4.4BSD-Lite ベースのフリーな UNIX 風オペレーティングシステムを、NEC PC-9801/PC-9821 やその互換機に移 植したもので、
など、さまざまな機能が標準で使用できます。新たに "サーバライセンス" や "マルチユーザパッケージ"、"ソフトウェア開発環境キット" のようなものを購 入する必要はありません。
また、多くのコンパイル済みバイナリ (Packages) が用意されています。さら に、すべてのソースコードが公開されているので、各自で変更を加えることも 可能です。
FreeBSD は、カリフォルニア大学バークレー校 (UCB)(「分校」は誤り) の Computer Systems Research Group(CSRG) による 4.4BSD-Lite を PC/AT 上で 動くようにしたもので、間接的には、William Jolitz が、UCB の Net/2 から 作成した 386BSD も元にしています。
Intel i386/i486/Pentium およびその互換 CPU を搭載した NEC PC-9801/9821 シリーズおよびその互換機である EPSON PC-386/486/586 シリーズを対象にし ています。ノーマルモード (PC-9801 互換) がある NEC H98 シリーズでも動作 するようです。Desktop/Note の別は問いませんが、古い EPSON NOTE では互換 性の問題から動作しない可能性があります。
NEC PC98-NX シリーズでは動作しません。しかし、NX シリーズで PC/AT 版の FreeBSD を動作させた報告はあるようです。
FreeBSD(98) は「できる限りオリジナルと同じにする」ことを基本コンセプト にして移植作業を行なっています。そのため、使用方法はオリジナルのドキュ メントや解説文を参考にすることができます。また、実行ファイルのほとんど は PC/AT 用の FreeBSD のものを使用することができます。ただし、ハードウ ェアやアーキテクチャに強く依存するものは流用できません。具体的な PC/AT 版との違いとしては、例えば以下のような点が挙げられます。
何とも言えません。何をもって信用できる/できないと判断するかによります。 ハングアップするかどうかといった「安定性」に関してであれば心配いりませ ん。メーカーの商品で FreeBSD(98) より不安定な OS は存在します。ネットワ ークについても貧乏な日本の国立大学では FreeBSD(98) を使ってインターネッ トに接続している例がいくつもあります。インターネットにただ接続するだけ でなく、ファイルサーバやメールサーバや NIS サーバにして酷使している例も あります。また、FreeBSD(98) で運用されている FTP サーバもあります。
新しいバージョンが公開されると、新たなバグに対するパッチが出て対応が面 倒になる可能性を否定できません。しかし、これは考え方を変えれば、バグに 対する対応が速いということを表していて、バグを隠したりその対応が遅いこ ともあるメーカーの製品よりは信頼できることを意味していると思います。た だ、現在のところ、FreeBSD はそれほど頻繁にバージョンアップをしていませ ん (一般公開用のバイナリと異なり、開発サイドでは毎日のように変更があり ます)。しかし、フリーソフトであるので、メーカーのサポートのようなものは ありません。したがって、サポートを判断基準にするのであれば話は別になり ます。頼りない回答ですが、「あなた自身が使ってみてどう思うかがその答」 ということになります。
FreeBSD(98) は、PC/AT 用の FreeBSD の配布物一式に PC-98 用ファイル群を 加えたもので構成されています。PC-98 用ファイル群は PC-98 で動かすために 変更した実行ファイルのほか、PC-98 用のドキュメント、PC-98 用に変更した ソースファイルで構成されています。
現在、FreeBSD のソースファイルにはカーネルを中心に PC-98 関連のソースも 含まれており、将来的には PC/AT との同時リリースを目指しています。しかし、 現状ではマージが完全には行われていないことから、PC/AT 用のリリース後に 再度チェックを行って、追加/変更が必要な部分のパッチの提供と PC-98 固有 のバイナリの作成等を行って、別個にリリースしています。必ず PC-98 用の差 分も入手して下さい。
FreeBSD(98) は、以下のサイトから anonymous FTP で入手できます。
このほかに、PC/AT 用の配布物が必要になります。PC/AT 用の FreeBSD の配布 物は、日本国内の以下のサイトから anonymous FTP で入手できます。
各ディレクトリの下にバージョン番号等がわかるようなディレクトリが存在します。これらは代表的なサイトであり、これ以外にも RingServerなどのミラーサイトが存在しますので、負荷の分散に御協力ください。
また、パソコン通信の、いわゆるライブラリに登録されることがあります。
そのほか、CD-ROM パッケージが以下のところから発売されており、大手パソコ ンショップや書店などで購入できます。また、UNIX USER 等の雑誌や書籍の付 録 CD-ROM に納められていることがあります。
PC/AT 版のみの CD-ROM でも、その CD-ROM と、ネットワークから入手した PC-98 用ファイル群を組み合わせてインストールすることもできます。
FreeBSD ユーザ向けの Mailing List である FreeBSD-users-jp ML があります。 加入希望者は majordomo@jp.freebsd.org 宛に、
とだけ本文に書いたメールをお送り下さい。折り返し、加入確認を行うメール が届きますので、その指示に従ってください。
この Mailing List では、FreeBSD のインストールや使用方法についての問題 点を広く議論するためのものです。機種を限定せず、PC/AT と PC-98 の両方の 話題を取り扱います。使用言語は日本語です。
なお、この Mailing List は、メールの流量が非常に多いので、頻繁にメール をチェックできない方、またはメールボックスの制限が厳しい方には digest 版の購読をお勧めします。
また、FreeBSD(98) のテスター向けの FreeBSD98-testers ML も運営していま す。加入希望者は majordomo@jp.freebsd.org 宛に、
とだけ本文に書いたメールをお送り下さい。この Mailing List では、 FreeBSD(98) の current バージョンやドライバ/インストーラのテスト等の話 題を扱います。FreeBSD(98) のインストール等の一般的な話題は扱っておりま せんのでご注意下さい。使用言語は日本語です。
現在、FreeBSD(98) に限定した News Group はありません。FreeBSD(98) の話 題は、PC/AT 用の FreeBSD と一緒に、以下の News Group で扱っています。
これ以外にも、comp.unix.bsd.freebsd.misc 等がありますが、それらの使用言 語は英語で、PC-98 の話題は理解してくれないと思います。
以下のところで FreeBSD(98) のことが話し合われています。このほかにもある と思いますので、いろいろ調べてみて下さい。
FUNIX はどちらかというと PC/AT 寄りなので、PC-98 固有の話題については FEPSONX のほうが無難かもしれません
FreeBSD(98) 移植チームとしては、質問の窓口は設置していません。一般的な 質問はできる限り、Mailing List や News Group、パソコン通信などで FreeBSD(98) の話題を受け付けて いるところで質問してみて下さい。移植チー ムやそのメンバ個人宛にメールをしても、返事が得られるかどうかの保証はで きません。
質問を行なう前にまず、付属のドキュメント (PC-98 用のみではなく PC/AT 用 も) や、オンラインマニュアルを読んでみて下さい。多くの質問はそれで解決 します。文学的要素の低い英文にめげないでください。
また、良くある質問を有志が取りまとめた FreeBSD QandA http://www.jp.freebsd.org/QandA/ が公開されています。
バグレポート、提案、バグフィックスは歓迎します。FreeBSD(98) 移植チーム FreeBSD98-hackers@jp.freebsd.org までメールをお送り下さい。
使用言語は日本語で大丈夫です。なお、その際には、リプライもれを防ぐため に、自分自身のメールアドレスを Cc: ヘッダに追加して下さい。
また、レビューや動作確認を広く募集したい場合は、FreeBSD98-testers ML で 呼びかけるという方法もあります。移植チームのメンバは原則として FreeBSD98-testers ML にも参加しているので、両方にメールする必要はありま せん。
長らくサービスを停止していた Report98 が、新アドレス http://home.jp.freebsd.org/~sakihama/Report98/ でサービスを再開し ました。従来の動作報告フォームとは違うものを採用していますので、 FreeBSD(98) 3.2R-Rev01 より前のバージョンの場合は、上記 WWW ページの内 容を参照して、新フォームを入手の上、 FreeBSD98-report@jp.freebsd.org まで、メールで報告して下さ い。
また、PC/AT、PC-98 を問わず、動作報告を受け付けている FreeBSD POWERED hardwares http://freebsd.chem.nagoya-u.ac.jp/~ugoita/ という WWW ページがあります。
XFree86 に X98 core team が移植した PC-98 用のサーバが含まれています。 これは FreeBSD(98) とは別プロジェクトです。対応機種/ボード等の情報は XFree86 付属のドキュメントを参照して下さい。
なお、Accelarated-X や Metro-X といった、PC/AT 用に発売されている商用 X サーバは PC-98 では使用できません。
原則的に、Packages や Ports は機種依存しませんので、PC/AT と同じものが 使用できます。
FAT16 (従来の DOS) のパーティションは msdosfs としてマウントすることで 読み書きできます。圧縮ドライブについては対応していません。Windows95 等 の Long Filename および FAT32 については 2.2.7R から、また NTFS の読み 込みは 3.2R から対応していますが、いずれも日本語のファイル名はサポート していません。
はい。サポートしているハードウェアに記述されている LAN ボードを使って、 TCP/IP による接続が可能です。ボードの I/O ポートや irq 等のリソースの割 り付けは、ボード毎に異なりますが、それ以外の設定の仕方については PC/AT と共通です。
はい。NFS V3 にも対応しています。設定は PC/AT と共通です。
はい。設定は PC/AT と共通です。また、SunOS を含む NIS を構成する場合は、 DES のインストールが必要となってきますが、その手順も PC/AT と共通です。
はい。設定は PC/AT と共通です。
IEEE STD 1284 を採用した新しい PC-9821 シリーズならば ppc 上の PLIP が 使えます。古い PC-98 では、パラレルポートが双方向でなかった関係でサポー トしていません。
はい。pppd、ppp とも使えます。設定は PC/AT と共通です。
はい。ipfw や ppp 等で実現されています。設定は PC/AT と共通です。
はい。Windows95/98/NT に対しては SAMBA が使えます。また Macintosh に対 しては NetaTalk や CAP が使えます。いずれも設定は PC/AT と共通です。
はい。lpd が標準で装備されています。設定は PC/AT と共通です。 なお、Windows95/98/NT 用には SAMBA を、Macintosh 用には NetaTalk を使う ことでプリントサーバになれます。
はい。apache 等が使えます。設定は PC/AT と共通です。
はい。sendmail が標準で装備されています。また、qmail 等も使うことができ ます。設定は PC/AT と共通です。
はい。INN 等が使えます。設定は PC/AT と共通です。
はい。IP フィルタは ipfw や ppp 等で実現可能です。また、DeleGate 等 のアプリケーションゲートウェイもサポートされています。設定は PC/AT と共 通です。
はい。標準装備の routed では、RIPv2 にも対応しています。設定は PC/AT と 共通です。ただし、LAN ボードによっては同じ LAN ボードを複数枚差せないも のもあります。また、同じLANボードを複数使用できる場合でも、設定ユーティ リティを起動するときは,一枚にしないと物理アドレスが破壊される場合があ ります。
はい。wide-dhcp 等が使えます。設定は PC/AT と共通です。
はい。bind が標準で装備されています。設定は PC/AT と共通です。
netboot のコードは移植されていますが、積極的には保守されておらず、対応 ボードが LGY-98, EGY-98 に限られています。また、ELF カーネルの読み込み はできません。
いいえ。dosboot は移植されていません。ただし、Masao氏が公開されて いるフリーソフトの HSB Ver3.7 以降なら、DOS からブートすることが可能で す。PC-9821RvII26 等の R-Mate シリーズでは、えらー15氏が公開されてい る差分(http://hp.vector.co.jp/authors/VA000363/から入手可能)を適用すれ ばブートすることが可能との報告があります。
いいえ。対応していません。
PC/AT には El Torito という規格があって、フロッピーディスクからのブート
相当の処理で実現できるのですが、PC-98 では実現方法から検討する必要があ
ります。
なお、PC-98 でも SCSI の CD-ROM からはブート可能であることが判明したの
で、SCSI CD 対応のブートプログラムが現在開発中です。
現在のところ 3.1R-Rev01 以降で、2nd シリアル (COM2) にのみ対応していま す。カーネルが 2nd シリアル (COM2) をシリアルコンソールとして使えるよう になっている必要があります。以下のように flags に "0x10" を付けてカーネ ルの再構築をして下さい。
device sio1 at isa? port 0x238 irq 5 flags 0x12000010
シリアルコンソールとは、RS-232C ポートに接続したダム端末をディスプレー やキーボードのかわりに使用する機能です。FreeBSD(98) をファイルサーバー /メールサーバーなどとしてキーボードやモニタを接続しないで使用すること が可能になります。
設定は PC/AT 同様、/boot.config に "-h" を書くと内部コンソールとシリア ルコンソールが切り替わります。また、"-P" と書いておくとキーボードが発見 できなかった場合にシリアルコンソールになります。
原因は 2 つ考えられます。まず、旧型キーボードが接続されている場合です。 ブートコードでは、BIOS パラメータブロックを調べてキーボードの接続状況を 検査していますが、旧型キーボード (CAPS が機械式のキーボード) が接続され ている場合との区別ができません。もう一つは、起動時に何らかの理由でキー ボードを認識できなかった場合です。一部機種で FreeBSD(98) を再起動した時 にキーボードが認識されないことがあります。このような時もシリアルコンソ ールが実行されます。
ccd (結合ディスク) ドライバまたは vinum が使えます。設定は PC/AT と共通です。
現在のところ、PC-98 でのミラーリングの動作報告例はないのですが、ccd の 複数パーティション結合については動作例があるので、おそらく問題ないはず です (望む動作報告)。
はい。設定は PC/AT と共通です。
縮小版 FreeBSD である PicoBSD を一部変更することで、PC-98 用を作ること
が可能であることが確認されました。詳細は、FreeBSD98-testers ML までお問
い合わせください。
なお、3.4R 以降の配布物には非公式パッチとして PicoBSD(98) パッチが含まれ
ています。
FreeBSD(98) 2.2.8R-Rev01 および 3.1R-Rev01 以降で BRIDGE 機能に対応しま した。設定は PC/AT と共通です。ただし、全ての LAN ドライバが対応してい るわけではありません。
はい。PC/AT と同様に cdrecord 等が使用できます。
以下の組合わせで動作確認されています。
PC-9821As(486DX) + ICM-??69 + TEAC CD-R55S + FreeBSD(98) 2.2.8R-Rev01 (bs driver, cdrecord, x4 で確認)
PC-9821RvII26 + LCW-RW8616SK + FreeBSD(98) 4.3-STABLE
(cdrecord を使用)
はい。PC/AT と同様に wormcontrol(8) や burncd(8) が使用できます。 FreeBSD(98) 3.xR および FreeBSD(98) 4.xR で wd ドライバを使用してい る場合は wormcontrol(8), FreeBSD(98) 4.xR で ata ドライバを使用して いる場合は burncd(8) を使用します。
以下の組合わせで動作確認されています。
PC-9821V13(P54C) + 内蔵 IDE + TEAC CD-W58E + FreeBSD(98) 4.3R-Rev01
(nac driver, burncd, x2, x8 で確認)